2016年8月17日水曜日

第3回 日本のお笑い、アメリカのお笑い、中国のお笑い

俺はねぇ、大のお笑い好きなんですよ。

でも普通お笑いが好きって言う日本人は、日本のお笑いが好きっていうことでしょ?

俺は中国育ちだし、大学はアメリカだから、世界中のお笑いを見るんですよ。
番組とかDVDとか。

それでね、俺なりの、説とかお笑い論とかがあるんですよ。

お笑いの二大流派:
まずはイギリス発祥で、アメリカや香港などの地域に影響している「欧米派」の笑い。

それに対して、日本発祥で、台湾や韓国にほぼパクられている「日本流」の笑い。

え、なんで「派」じゃなくて「流」を使うって?
ただの響きに決まっとるかな!

ま、欧米派と日本流のお笑いの一番根本的な違いは何かというと、
欧米派は基本的に「パンチライン(Punchline)」で笑いを起こすが、
日本流は基本的に「ツッコミ」で笑いを起こす。

なぜ基本的っていうのかというと、どの地域にも異端児がいるからだ。

もちろん、この二つのお笑い流派にはそれぞれ長所と短所がある。

日本流から行こうか。
日本流の長所は、ツッコミがボケの面白いところを分かりやすく説明してくれるから、
ボケはちょっとわかりにくくても、遠いところからジョークを言っても、
面白ければちゃんと笑いにつながる。
でも日本流の短所は、ボケが小ボケをかましたり、いわゆるベタなボケを言ったときに、
見てる側はもうその時点で笑いたいけど、ていうか笑ってしまうけど、
自然とツッコミをちょっと待ってしまうところがあるから、
ツッコミが少しでも遅れたら、笑いが逃げてしまう。

Oh Bay Haはどうだろう。(欧米か!)
欧米派の長所は、見てる側もやってる側もちゃんと「笑うのはパンチラインの後」と
認識できてるから、テンポがいい。
でも欧米派の短所は、ツッコミがいないから、
あまりにも難しいボケだったり、あまりにも流れと関係ないことだったり、
あるいはあまりにもマイナーな知識から来ているボケだったりすると、
何か面白いのか分からない。

「ボケ」と「パンチライン」の違い:
パンチラインは、ただの「あまり説明が要らないボケ」ではないんです。

なぜかと言うと、「ボケ」というのは、文字通り、
「頭が悪い人」です。「非常識人」です。
日本でボケをやる人は、
本当頭が悪いか、(これは少数ですね)
あるいは頭が悪い人という「役」を演じてるんです。
だって、ボケを言ってる松本人志とか、さまぁーずの大竹とかをみて、
この人たちは本気でそう思ってそんなことを言ってると、思わないでしょ?

逆にパンチラインを言う人はね、
もちろん「頭が悪い人が言った愚かな一言」というパターンはあるけど、
「面白い人が言った皮肉な一言」というパターンもできるんです。
これを日本語でやってしまうと、ま、
「ダジャレ」やら「アメリカンジョーク」やらで見下されるんですぅ。

まとめると、ボケは、基本的にバカの言うこと。
パンチラインは、バカが言いてもいいし、賢い人が言ってもいい。

かな?分かる?

分かりにくい?

世界共通のお笑い論:
もちろん、どんなお笑いでも、どこのお笑いでも、共通してるのは、
笑いは裏切りによって起きること
です。

こういうシチュエーションでこういう人がいたら、
「普通は」lこう言う、あるいはこうする。
でもこの人は私が思ってたのと違うことを言った、
だから、それがおもしろくて笑った。

もっと進化すると、
「普通は」こういうシチュエーションではこういう風に期待を裏切るが、
この人が新しい裏切り方をした。
だから、面白い。わろた。

ま、ギャグとか顔芸とかも実はそうなんですよ。
やっぱり面白いギャグとか面白い表情っていうのは、
「普通はこういう風に体を曲げない」とか、
「普通はこういう風にこのフレーズを使わない」とか、
「普通はこんな顔なんか作らないし、できない」とかですよ。

世界各地の異端児:
どこに行っても、やっぱりテレビの主流は「ベタ」なんですよ。

アメリカの代表的なベタなお笑い番組は、
「SNL (Saturrday Night Live)」とかのコント番組と、
「How I Met Your Mother」とか「Two And A Half Men」とかのコメディ・ドラマですかね。

日本の代表的なベタなお笑い番組は、
「リチャードホール」、「はねるのトびら」、「ピカルの定理」などのコント番組と、
ゴールデンタイムのクイズ番組、面白ビデオをみてコメントをするバラエティ番組ですかね。

あまりにも昔の番組はここでぎろんしないけど。
なぜかていうと、その時代でそれをオンエアで見てなかったから、
今にしたらベタで面白くないかもしれないけど、
当時にしては多分新鋭的な笑いかもしれなかったし。
(ひょうきん族とか、8時だよとか)

異端児を紹介しようか?

ま、ベタの反対は、どうしても「シュール」になってしまうんです。

シュールの定義は難しいけど、
シュールの側面としては、
「どこで笑ったらいいか分からない」、「流れが全く見えない」、「ロジックがめちゃくちゃ」
というのが挙げられます。

英語では、「シュール」の語源、「Surreal」で言う場合もありますが、
もっと一般的には「Absurd」、「Dry」という言葉を使います。

日本のシュールな異端児と言ったら、
なんと言っても、
松本人志でしょう!
この人は、売れるべきではなかったんですよ。
自分の著書でも書いてありますが、
浜田がいなかったら、松本はもっとマニアック的な存在になってたはず。
軽めのやつから言うと、「ごっつええ感じ」、「ガキの使い」;
重めのやつは「VISUALALBUM」とか、「一人ごっつ」とか、
あと最近で言うと「MHK」。

もはや、「これはお笑いか?」と思ってしまうほどなものですよね。

ほかにも、板尾創路とか、ラーメンズとか、ジャルジャルとかがいるけど。

アメリカにももちろん異端児がいます。
私が大好きな「Tim and Eric」というコンビです。
Youtubeでもいろんなコントの映像がありますんで、
見てみてください。

この二人のお笑いの特徴としては、
コントをやるんだけど、二人とも本名で出るんですよ。
そして、「僕たちは今演技をしています」という雰囲気を一切出さないんですよ。

例えば、生中継の報道番組とか、お料理番組とか、映画評論の番組とか、
いかにも本当にそういう番組の司会をやっているかのように演じ切るんですよ。

ダウンタウンでも、コントが本当に面白くなったらそのまま笑ってしまうんでしょう?
それが一切ないんです。
我慢しているところさえ見せないんです。

でも、こういう風にいたってまじめに司会をやるんだけど、
言ってる内容がもう、むちゃくちゃなんですよ。

例えば、偽の料理番組をやるというコントで結構印象的だったのは、
Timがサラダを作ってて、そのためにイタリアン・ソースを作ってたけど、
いろいろやって、イタリアン・ソースがほぼ完成した後に、
「ここで、隠し味として、この、XXX社のマスタードを、ほんのちょっとだけ使います。」
(と言いながらめちゃくちゃ入れるんですよ)
「はい、これで完成です。いやー、このマスタードは本当にこのソースに魂を吹き込んだけど、多分食べてる側はマスタードが入ってるなんて気づきもしないじゃないかな」
そこにEricがやってきて、試食するわけですよ。
そこでも真顔でひとくだりがあるけど、
二人はそこまで仲良くないんだなっていうのが伝わるんです。
そしてEricは試食して、こうコメントするんです。
「うん。うん、この野菜は結構新鮮でうまいよ。このソースはねぇ、独特な味がするなぁ。
なんか、イタリアンソースとマスタードを混ぜたみたいな味だな」と
真顔で言うんです。
Timはそれを聞いて、別になんのリアクションもしないんですよ。
ただただ3秒ぐらいの沈黙が続けるんですよ。
そして最後に、番組のスポンサーのロゴが出てくるけど、
思いっきりそのマスタードのXXX社なんですよ。

爆笑できないでしょう?
でもにやけてしまうんですよ。
ま、活字にするよりも、実際映像のほうが全然面白いけどね。
間とか表情とかが大事だからね。

あ、あと、みんな知ってると思うけど、
「シュール」を最初に成立させたのはイギリスの「モンティ・パイソン(Monty Python)」
というグループだよ。

え?知らんかった?
帰れ!

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